Arles
ついにアルルへとやって来た。
この旅唯一の動機付けとなった目的地があるとすれば、この町。
ゴッホ、ゴーギャンが暮らし、狂気へとつながる壮絶な時間を共有した場所。
代償に値する作品たちが生まれた場所。
彼らはきっと友情を超えた、人間としての最深部に触れあう経験をしたのだろうと思う。
そしてそれは、ゴッホが南仏の光と影を求めてアルルへとやってこなければ、起こりえなかったはず。
その場所に立ってみたいとずっと思っていた。
予想に違わずアルルは美しい町だった。
円形闘技場や古代劇場が残り、街並みはまさにプロヴァンスを象徴する色彩で溢れている。
「夜のカフェテラス」のモデルとなったカフェや、ゴッホが収容された病院を訪ねる。
ゴッホが歩いた場所に立っているという事実に深く感動するが、同時に観光スポット化されていることにかすかな違和感を覚える。
それは当たり前だし、しょうがないことなのだけど。
そして気づいた。
これまで旅してきた南仏の風景、音、匂い、そして何より信じがたく強烈なこの光こそが僕の求めていたものだったのだと。
日が暮れて、光が夜にその支配力を譲る。
アルルの夜空はなんとも形容しがたい美しさで僕たちを包んでいた。
深い青、黄、緑。
ゴッホの色。
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