« Tales from Book Apple #10 "Room to Move" | トップページ | February 2015 »

2015年1月27日 (火)

Tales from Book Apple #11 "Scope for Imagination"

Bookapplecoverm

小学生の頃から、僕は周囲とどこか上手くなじめないところがあって、いつも自分を異物感のある存在として感じていました。

「男らしさ」とか「みんなと同じ」というような感覚に強い違和感を持っていて、結果としてひとりで想像の世界に遊ぶことが多かったように思います。

小学校4年生から5年生にかけて、親の仕事の都合で少しの間イギリスのブライトンという街で過ごしました。

日本人学校ではなく、現地の小さな普通の学校に通ったのですが、その経験はその後の僕に決定的な影響を与えることになりました。

初めて自分の異質さを感じることがなかったのです。

クラスには様々な人種、宗教を持つ生徒たちが混在し、本当に小さな学校だったので、他学年が同じ教室で授業を受けることも多く年齢もばらばら。

ひとりひとりがあまりに個性的で、自分が他人と違っているのは当たり前だし、そもそも誰もそんなことを考えてもいませんでした。

いい友達も何人かできたし、初めて女の子から告白されたりもしました。

イギリスでの生活は僕にとって、かけがえのない美しい記憶として心に刻まれています。

日本へ帰ってくると、僕は「イギリスからの転校生」ということになって、異物感は最高レベルに達しました。

辛かったというほどではないけれど、自分の個性を考え、誰とも違う自分だけの生き方をしたいと強く思うきっかけとなりました。

ちょうどその頃に出会い、それ以来いまだに何度も読み返してしまう本が、L・M・モンゴメリの「赤毛のアン」です。

初めて読んだとき「これは僕だ」と思いました。

もう少し正確に言えば、アンほど純粋に自分を表現できない僕は、どこまでもまっすぐなアンに憧れを抱いたのでしょう。

年齢を重ねて読み返す度に、新たな角度から感動する自分に気付きます。

アンは「想像の余地 “Scope for Imagination”」を愛しています。

「想像の余地」がないものなんて、そんなつまらないものはないのです。

音楽もまったく同じだと思います。

僕は想像の余地のない音楽なんて想像できません。

音楽は演奏するのも、聴くのにも大きな想像力を要求します。

多くの人がもっともっと想像力を信じたなら、この世界はずっと平和で希望に満ちたものになるはずなのに。

|

« Tales from Book Apple #10 "Room to Move" | トップページ | February 2015 »

Essay」カテゴリの記事

Tales from Book Apple」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Tales from Book Apple #11 "Scope for Imagination":

« Tales from Book Apple #10 "Room to Move" | トップページ | February 2015 »