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2014年12月28日 (日)

Tales from Book Apple #8 "Falling Summer Rain"

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バンドが本当の意味でバンドとして成立するには時間がかかるし、それが長く持続することはまったく奇跡的なことだと思います。
20才前後のころ数年間やっていたバンドがあります。
僕がオリジナルのインスト曲を中心とした即興的な音楽に本格的に取り組み始めたユニットでした。
ベーシスト畠中敏、ドラマー松田”GORI”広士とのトリオで、クリエイティブな音楽を目指して手探りながら奮闘し、語り合い、多くの時間を共に過ごしました。
僕にとってはとても大切な時間であり、その中から生まれた音楽は荒削りであってもその瞬間にしかないような輝きを持っていて、この時期に築いたものはそのまままっすぐに今の自分の音楽に引き継がれているような気がします。

そんな時間はあまりにも突然に断ち切られました。
2月のある日、バンドで2度目のレコーディングの最中に、ベーシスト「はっちゃん」は交通事故で僕たちの前から旅立ちました。
その事実を客観的な現実として受け入れることが僕にはなかなか出来ませんでした。

若かった僕は、その喪失感や悲しみを誰かと共有することが出来ずに、上手くは言えないのですが、自分だけのものとして独占したいというような不純で自分本位な感情にずいぶんと苦しみました。

その数ヶ月後には、僕は海外へ渡り数年を過ごすことになります。

今思えば、はっちゃんには様々な場面で、ものすごく助けられました。
深い悲しみは大きなエネルギーともなり得るということをはじめて知りました。

こういうことを言っても良いのかどうか僕にはまったく確信が持てませんが、はっちゃんとの別れがなければ今の僕は全然違っていたのだろうと思います。
数年前、事故から20年が経って、ご両親と共にはっちゃんのたくさんの友人たちが集う機会がありました。
その時に、集まったひとりひとりがそれぞれのはっちゃんを抱えて20年を生きてきたのだということを遅ればせながらに知り、自分の小ささを痛感しました。
それくらいにはっちゃんは大きな存在だったのです。
そしてこの曲「Falling Summer Rain」が生まれました。
はっちゃん、ありがとう。

「Falling Summer Rain」は、僕の大好きな本「若草物語」のなかで、ジョーが失った妹への感情に苦しみ、そして姉妹たちのことを想って書いた詩のなかの言葉です。
この詩がきっかけとなってジョーの人生は再び前向きに歩み始めるように僕には思えます。

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