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2008年9月21日 (日)

Tarascon

Tarascon

ドーテの小説「タラスコンのタルタラン」が頭にあって訪れることにした小さな町タラスコン。
ここで思いがけず、深く心に残る経験をすることになる。

ローヌ川を渡ってタラスコンの町にはいると、突然時間は中世へとタイムスリップする。
川の畔にはお城が建ち、古びた教会を石畳の路地と美しい家々が雑然と取り巻く。
もう泊まるしかないと思い、おそらく町に一軒かぎりという感じのホテルに部屋を見つける。
ホテル一階のオープン・カフェで夕食。
観光客の姿はなく、地元のおじさん、おばさんたちが思い思いに食事やワインを飲み、静かに談笑している。
一人きりの給仕は初老のおじいさん。
彼が本当に素晴らしかった。
英語が話せないのだけれど、僕たちがいい時間をすごせるように誠心誠意でコミュニケーションしてくれる。
真心のこもった不器用さが暖かく僕たちを包む。
上手く言えないが、古き良き時代のウェイター・シップを見る気がした。
食事も終わりに近づいた頃、彼がどこからか英語を少し話せる友達を連れてきて、僕たちに何か伝えるように促している。
その一言は"Am I polite?"
感動。

食事も終わり、少し散歩でもと歩いてみる。
すると家々から子供たちから老人まで、続々と人びとが出てくる。
そしてどうやらみんな同じ方向へ向かって歩いているらしい。
興味津々でついて行くと、ローヌ川のほとりへとたどり着き、みんなてんでに座り込む。
僕たちも橋の上に場所を見つけ、しばらく待つ。
何となく予感はし始めていた。
花火!
ローヌの上に咲く花火は、日本のものと比べたら、やはり少し小振りなのかもしれない。
それでもそれは、とてもとても美しく心に染み込んできた。

Fireworks

花火が終わると、また人びとが同じ方向へ向かって歩き出す。
もう迷いはなく僕たちもその方向へと流されていく。
目的地は町の中心にある広場。
夕方そこを通ったときには気づかなかったのだけれど、今は広場がいわゆる「移動遊園地」と化している。
メリーゴーランドや、得体の知れない絶叫マシン、射的、カジノ・マシン、あやしげな屋台など。
そして子供たちが、ものすごいハイテンションで遊び狂っている。
なんだかなつかしい感じがするような、純粋な興奮が伝わってくる。
その渦にすっかり呑まれた僕たちの精神年齢も、あっという間に下降。
楽しすぎる。
ようやく話を聞くと、どうやらその日は地元の夏祭りの最終日だったらしい。
そんな日に美しきタラスコンと巡り会えた幸運に感謝。

Lunapark

翌日、ホテルを出ると、昨夜給仕してくれたおじいさんが窓を拭いていた。
手を振ると、おじいさんは僕たちの姿が見えなくなるまでずっと手を振り続けてくれた。

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